ミラージュの近くにはちょっと大きな森林公園があって、ビオトープや池や噴水がある。3月末とはいえまだまだ肌寒い日が多いけど、今日はずいぶんと暖かい。
せっかく気持ちよく晴れた日だから、と芝生にレジャーシートを敷いてその上でくつろぐ。
「はい、クッキー。ちゃんとお手手を合わせて。ありがとうって感謝しながらゆっくり食べるんだよ」
「はぁい、いただきます!」
真湖の躾のお陰か、真弓ちゃんはずいぶん礼儀正しい。ぎこちないけどちゃんと手を合わせてから食べ始めた。
「すごいなあ。真湖はきちんと躾してるんだね」
「甘くした方が楽だからさ、そうしたい気持ちはあるけど。結局、成長した時に恥をかくのは子ども自身じゃん。あたしの両親が手抜きってか、放任主義過ぎて。自分がそうだったからね。やっぱり子どもには同じ惨めな思いをして欲しくないんだよね」
はぁ、と真湖はため息を着く。
「けど、ま。あたし一人じゃそりゃ限界があるわ。だから、ダンナと二人で二人三脚で子育てしてる。ああ見えて謙吾も結構厳しいんだよ?」
真湖の愛しのダンナ様である謙吾さんは、のんびりおっとりにこにこしていて。めったに怒ったりしない。そんな彼が厳しい?
「え~想像できないなあ」
「そりゃそうでしょ。だけど、あんたが知る謙吾は彼の一部に過ぎないし。あれで仕事も結構やり手なんだから」
「わかってるよ」と私が答えると、真湖は少しだけ真面目な顔をする。
そして、こう告げた。
「なら……わかるでしょう? 彼の見せていた面も彼の一部に過ぎなかったんだと」



