あなたのヒロインではないけれど






「お~! 結実、おっ久!」


ミラージュを出ると、駐車場の車で待っていてくれた真湖が車窓から手を振る。


「待たせてごめんね。はい、お詫びにクッキー貰ったから」

「お! ミラージュ特製クッキーか。デザートに食べようぜぃ」

「クッキー? たべたい!」


助手席のチャイルドシートに座っていた真弓ちゃんが目を輝かせるけど、母である真湖に「ダメだよ!」と注意をされた。

「ご飯食べてアースィ観てからね。今日はオムライスだから、ご飯の前に食べたらお腹いっぱいでオムライス食べられないよ?」

「む~……」


大好きなオムライスとクッキーを天秤に掛けたのか、真弓ちゃんは一人前に悩んでます。そんな様子も可愛いなあと微笑ましくなる。


結局、真弓ちゃんはお腹が空いてた誘惑に負けて、ファミレスのオムライスを口いっぱいに頬張ってた。


愛娘がぼろぼろと溢すのを「これこれ、ちゃんと口に入れなさい」と注意をしながら世話を焼く真湖は、すっかりお母さんの顔で。すごいなあ……と感心した。


“母親”……か。


ゆみ先輩は、アメリカで三つ子が生まれたとメッセージが来た。


菜月さんと結婚した健太お兄ちゃんは彼女との間に出来た息子と幸せに暮らしてる。


さくらお姉ちゃんも去年できちゃった結婚し、年末に女の子が生まれてただいま育児の真っ最中。


母親になるって、大変だし素敵なこと。きっと私には難しいから、お母さんをしてるひとは本当に尊敬してしまうな……なんて奮闘する真湖を見ながら思う。


私はきっと……夢見ることもできないんだろうな。