あなたのヒロインではないけれど




「結実ちゃんも可愛いんだから! そうやっておけば男がほって置かないって。さあさあ、今日は頑張んなさい! わたしも応援しとるで」


アヤメさんの勘違いはそのままにして、私は「そうだね」と頷いた。


「頑張ってくるね(友達と真弓ちゃんとの遊びを)」


本当の目的は内心でだけ呟き、ミラージュを後にしようとすると、後輩ちゃんからも「デートですか?」と訊かれたのは想定内。


「こんなアラサーの心配より、自分の心配をしないとね。ヒロくんの浮気疑惑はどうなったの?」

「そうなんですよ! ヒロったらふてぶてしく居直って。“違う。俺にはお前だけだ”って否定したけど。悔しいったら~」


後輩ちゃんの愚痴や悩みを聞く立場になり、自分なりにアドバイスをすると。一通り吐き出したからか、後輩ちゃんは「わかりました。いつもすみません」と謝りながらも、すっきりした顔で私にお礼を言ってくれた。


「ううん、いいよ。私でよかったらいつでも聞くから」

「ありがとうございます! 結実さんだけですよ~あたしの話をちゃんと聞いてくれるの。今度、ご飯でも食べにいきましょうね! あたし奢りますから」

「そう言って結局ノロケになるんでしょう」

「そ、そんなことありませんよぅ……ヒロったらいつでもいい加減なんだから」


むくれながらも頬を染める後輩ちゃんは、初々しく可愛らしい。私を慕ってくれてるし、幸せな愚痴を聞いても上手く行っていてよかったと思う。


私は体験できない幸せを……どうか掴んで欲しい。切実に思った。