女の子の家にはお手伝いさんがいて、お風呂の用意をしてくれた。

「一緒に入りましょ」と女の子は私の頭や体をピカピカになるまで洗ってくれて、服が乾くまでとワンピースを貸してくれた。


薄いピンク色のシフォン生地で作られたワンピースは、ふわふわでまるでお姫様のドレスのよう。たぶん、知らず知らず嬉しさが滲み出てたんだと思う。
自室へ招き入れてくれた女の子は、私にいろんな絵本や綺麗な絵を見せてくれた。お手伝いさんが淹れてくれたココアと、フルーツが入ったマフィンを手に。彼女はにっこり笑う。


「ほら、見て。あたしね、こういうお話大好きなの。あなたも、でしょ?」


ランドセルに付けていたとあるキャラのキーホルダーで、私の趣味が分かったのだと思う。
それに、何より。私は絵本や絵を夢中で見てたから。


初めて目にする訳されていない原本は、まだ日本で出版されていないもので。大好きなシリーズの新作を、食い入るように眺めた。


彼女は、私が思う存分絵本を堪能するのを微笑みながら見守ってくれた。ただ、ココアが冷めちゃうよと促しただけで。


他人からそうやって勧められることに慣れない私は、遠慮し過ぎてココアもマフィンも手にできなかったけど。彼女は怒りもしなかった。


そして、彼女はいつかこんな世界中に愛されるキャラを生み出すのが夢だと話してくれたんだ。