あなたのヒロインではないけれど




「おお、ご飯中だったかね。失礼したよ」

「あらまあ、洋介さんたら……美味しいものをかぎ分ける嗅覚は相変わらずねえ」


ほのぼのと会話する洋介おじいちゃんは、何故か縁側から顔を出した。


おばあちゃんは仕方ないねえ、と洋介おじいちゃんを招き入れて、三人でお鍋を囲む。人数が多い方がご飯が美味しく思えるから不思議だ。


「これ、よかったらデザートにたべとくれ」


洋介おじいちゃんが持ってきた白い箱は、小さなフルーツ入りのケーキだった。おばあちゃんは果物が大好きだから、やっぱりよく判ってるんだなあ……とほのぼのしながら切り分ける。


おばあちゃんに一番大きなケーキをあげると、「ありがとうよ」としわくちゃの顔をほころばせて喜んだ。


お茶を淹れてケーキを頂いていると、唐突に洋介おじいちゃんが口を開いた。


「時に……結実ちゃん、わしのとこを辞めたそうだがなぜだね? 転勤するとも聞いたが」


ケーキを喉に詰まらせそうになって、慌ててオレンジジュースで飲み込む。


「……私の役割は終わったからです。もう、手を離れて独り立ちする時だと思いましたから」

「ふむ」


おじいちゃんは甘いのう、と言いながらケーキを頬張る。


「……貴明のことは無関係かね?」


二度目は、本当にケーキが詰まった。