「はい、おばあちゃん。ポン酢がよかったよね?」
「ああ、ありがとう」
24日の夜。
私は、おばあちゃん家にいた。
真湖は言わずもがなカレシとクリスマスデートで、お兄ちゃんは菜月さんのアパートでお家デート。お姉ちゃんはカレシと遊園地のイルミネーションを観に。お母さんは単身赴任のお父さんのもとへ。それぞれ大切な人と過ごしてる。
私は……そんな人は居ないし、きっとこれからもずっとできないだろう。
でも、いい。独りでも……楽しく過ごすんだ。
幸い今はおばあちゃん家が近いから、転勤前のおばあちゃん孝行のつもりでご飯を作りに来た。
冷えるから今晩は鱈をメインにしたお鍋。昆布であっさりしたダシを取って、お野菜もたっぷりと。
「美味しいねえ……結実、ずいぶんお料理上手になったもんだ。いいお嫁さんになれるよ。結実のいい人も喜んでんじゃないのかい?」
「おばあちゃん……」
熱々のお鍋を食べてるからか、涙が出てきた。
「……いないよ、いい人なんて。ごめんね……」
おばあちゃんの期待を叶えられなくてごめんなさい。私はきっとずっと独り……だけど、いいんだ。
唯一の、最初で最後の恋はできたから。彼にはたくさんのものを貰えた。恋の苦しさも、辛さも、悲しみも、楽しさも、喜びも幸せも。
決して実らない恋だったけど……後悔はしない。
本当に、出会えてよかった……と思えたんだよ。



