「え……と」
まさか、氷上さんからまた誘われるなんて思ってもみなかったから、答えを返せなくて口ごもる。
「キャンディもずいぶん寂しがってるよ。君になついてたから……キャンディに顔を見せるだけでもいいから、また……」
私のぐらつく気持ちを見透かしたように、氷上さんは畳み掛けてくる。
……やっぱり、あなたはずるい。
私が断れないことを知っていて、そうやっていつでも誘惑して。ますます気持ちを膨らませていくんだもの。
だけど……
私は、もう。あなたとは個人的に会わないと決めた。
それが誰のためにもなるんだから、せっかくの決意をあっさり覆す訳にはいかない。
「……すみません……今日は……今夜は用事があります」
驚くほどスラスラと断りの言葉が口を付いて出た。今までだったらアワアワともたついて、油断した隙を押しきられてきたけど。私は……もう、変わらなきゃ強くそう思う。
すると、氷上さんは心底残念そうにため息を着いた。
「いや、こちらこそごめん。そちらの都合を考えずに急に誘えば困りもするよね」
だけど、と彼は急に手を伸ばしてくる。ハッと気づくと、氷上さんはいつの間にか私の手に自分の大きな手を重ねてきた。そして、何かを宿した瞳で私を見上げる。
ドキン、ドキン、と鼓動が速くなっていった。
「クリスマス……予定はあるの? もしも無ければ……」
氷上さんが囁くように訊いてきた瞬間――
ネイサンさんの奇声が耳に飛び込んできた。
「クリスマス! 皆でパーティーしまショウ!」



