SS社の正式名称はsakura satsuki Co.Ltd.でした……。
(あれ? 皐月って……)
「会長と鵜野さんは顔見知りだったのか」
なにか引っかかることがあったけれど、結城さんの声で現実に引き戻された。
「あ、はい。おばあちゃんのお知り合いで……」
「和子さんとは友達じゃよ。ダンナの源三くんとははな垂れ小僧からの親友じゃった」
「ワーオビックリ。ワンダフルダネ」
椅子に座ってお茶を啜る姿はいつもの好好爺のおじいちゃん。とても、日本を代表する玩具メーカーの会長には見えない。
「不躾な質問よろしいでしょうか?」
仲田さんが片手を挙げて会長に訊ねる。部長が片眉を上げるけれど、おじいちゃんは「なんだね?」と朗らかに応じた。
「鵜野さんが発案したアースィシリーズ……ぽっと出のアイデアがずいぶん上手くプロジェクトとして展開していきましたが……もしや会長の肝いりでしょうか?」
「仲田くん! キミ、会長に向かって失礼じゃないかね」
部長の額に青筋が浮かぶけど、彼女は平然としてる。おじいちゃんはふっと小さく笑って茶飲みをテーブルに置いた。
「いかにも。結実ちゃんが関わったから、わしも強く後押ししバックアップをしたのは否定せん」
だがな、とおじいちゃんは強い瞳で仲田さんを見返しきっぱり言い切った。
「商売である以上、売れて利益が得られる見通しがあるからこそ投資をしたんじゃ。結実ちゃんの熱い思いが本物であったらばこそ。でなければ、いくら結実ちゃんでも手助けはせんかったよ」



