「……ずいぶん慣れてるのね」
深夜、とうに日付が変わった時間帯。ボソッと呟いたのは仲田さんだった。
結局、観賞会は飲み会と化して目的が果たされることなく。明日は土曜日だから……とみんなが好き勝手に騒いだ結果。酔いつぶれたライアンさん、疲れて寝た結城さんのため。ブランケットや枕を出してきた私に、仲田さんがそう呟いた。
「……慣れてるって……あの」
「氷上の家、ずいぶん勝手知ったる様子で驚いただけ。別に、大人同士だから付き合うのは自由だし。責めたりするつもりはないから」
ただ……と、仲田さんはキャンディを遊ばせながら。私に忠告をしてきた。
「本気にしちゃダメよ、男の言葉なんて。男なんてみんな嘘つき……手にいれる為にはどれだけでも耳障りのいい言葉を並べる癖に、手にいれた途端態度を変えるのが当たり前。男の言葉を信じたりしたら泣くのは女だけよ……いつだってね。苦しむのも悲しむのも女なんだから」
ずいぶん実感が籠った言葉を聞いて、私は何も言えずにただうなずくことしかできなかった。
昔……仲田さんはなにかあったんだ。そう察したところで、私が触れていい傷じゃない。今でも彼女を苦しめる根深い傷。
どうか……仲田さんを癒す男性が現れますように。寂しそうにキャンディを遊ばせる彼女の背中をみながら、そう祈らずにはいられなかった。



