あなたのヒロインではないけれど






「新しいシリーズの企画もすんなり通りそうね」


氷上さんが纏めた資料を仲田さんがパラパラと捲ると、チームリーダーである結城さんが腕を組む。


「しかし、不思議ではあるな。これだけ大掛かりなプロジェクト、ヘルプに入る人数が少ない割には円滑にことが進み過ぎる気がする」

「まあね。費用の概算もすんなり通ったし……引っかかることはあるけど、上手く行ってるならいいんじゃない? それより、こんな場所で油を売ってないで、第2チームの監督に行ってきたら?」


仲田さんが冷たく言い放つのを、結城さんがあからさまなため息で迎えた。


「またオレを追い出そうとする。そんなに居てほしくないのか?」

「デカイ図体が邪魔。唐変木呼ばわりされたくなければ、さっさと仕事をしなさい」


ピシャリと仲田さんが言うと、結城さんは肩を落としてとぼとぼと歩き出す。その広い背中は影を背負って哀愁が漂ってますよ……。


「さ、今日はちゃっちゃと片付けちゃいましょう!」

「そうですネ! オタノシミがありますカラ」


仲田さんにネイサンさんが同意をしたから、怖いけど思い切って話しかけてみた。


「あ、あの。なにかあるんですか?」


私が訊いただけでネイサンさんは一瞬だけ冷たい瞳をしたけれど。次の瞬間には目一杯の親愛の情を浮かべてた。


「よくぞ訊いてくれマシタ! さすがにユーミ、鋭いネ」


そして、彼はビジネスバッグから取り出したのは。Blu-rayのディスクだった。


「特別に、貸し出して貰えたヨ! アニメの第1話。後でミンナで観ようネ!」