「マコから聞いたかもしれないケド……タカアキはやめたら? あいつのハートにアルのは、ユミのことダケだよ。
ハイスクール時代のタカアキ、どんな美人でもぐらつかなかったし。イマも同じダヨ」
「…………」
「ボクもユミのことは知ってる」
強い牽制のためか、ネイサンさんはその名前を出してきた。ピクッと両手が震えてしまい、動揺をつぶさに伝えてしまった。
「ハッキリ言うと……彼女以上の女性はそうイナイヨネ。外見だけじゃない……ユミはどれだけ完璧でも、努力を忘れたりシナイ。あなたとは違うネ、ユーミ。“ユミ”の偽物サン」
ビクッと、肩が震えた。
ネイサンさんが私を見下ろす瞳はとても冷たくて……。身心ともに凍りつきそうだ。
「……タカアキはあなたの名前がユミと似てるから、今は珍しくてそばに置いてるだけダヨ」
阿部さん以上に冷ややかな目で見られて、身体が震える。
だけど……と。私は怯まずにキッと彼を見据えた。
このままビクビクして泣いてばかりでは駄目だ。私も大人なんだから……自分のことはちゃんと自分で決めないと。
だから、私はネイサンさんに確信を持って反論した。
「わ、わかってます! 氷上さんが私をただの仕事仲間としか見ていないことは。 何も期待できないことも。
でも……あと少しだけ……時間をください。
そうしたら……私から必ず彼から離れますから。今だけは……見守っていてください」
ぽろぽろと溢れる涙を拭うことなく、ネイサンさんに頭を下げた。
「ゆみ先輩に叶わないことは……最初からわかってましたから」



