あなたのヒロインではないけれど




「僕がイルカを好きになったのは小学生のころなんだ」

「え、そうなんですか?」

「ああ、当時とあるアクションゲームにハマっててね。日本ではとてもマイナーだったけど、海の中のグラフィックがとても綺麗で。それが見たくてエンディングまで頑張ったな」

「……そ……うでしたか」


ハンバーグを食べ終えた貴明さんは、ごく自然に話をし出した。特に気負うこともなく、友達にでも話すように。


今まで全く知らなかった彼のことが解る……そんな小さな嬉しさが、私の中にあった。


「それが、遊んだゲーム機は実はSS社製じゃなかったんだよ。……これはオフレコね」


人差し指を唇に当てておどけた顔でウインクするから、思わず噴き出してしまいました。


「そうですか。それじゃあ……貴明さんを懲らしめたい時には、そのお話をすればいいんですね?」

「え、それ本気? 参ったな……そんなつもりで話した訳じゃないんだけど」


彼は心底困ったような顔をして人差し指で頬を掻く。意味深にふふふ、と笑った後に「さあどうでしょうか?」と言っておいてあげました。


「参った、参った。やっぱり日本の女の子もアメリカみたいに強くなってきてるね。用心しないと」


アメリカ……!


彼の口からアメリカの話が初めて飛び出して。私は雷に打たれたように何もかもが止まった。