「イルカに変身……ですか」
まさか、そうくるとは思ってもみなかった。アースィはアースィのままで冒険するとばかり考えてたから。
だけど、貴明さんのアイデアは確かに目から鱗が落ちる思いだった。ファンタジーを土台にした世界である以上、いろんな可能性に満ちている。
“子どもやユーザーをどれだけワクワクさせられるか――”
簡単なようで難しいそれを、貴明さんは実現しようとしてるんだ。 そう思うと、何だか応援したくなってくる。
「そう……ですね。それは盲点でした。アースィが変身するなんて。でも、上手くいけば別のバージョンのぬいぐるみの方が売れるかもしれません。イルカは老若男女に人気ですし」
私の中では早速、イルカちゃんの設計図が現れた。材料はどうしようだとか、型紙をどう作ろうかなんて思案をしてしまう。
イルカのアースィが海の中で自由に泳ぎ回る姿を想像しただけでわくわくした。
「いいですね……楽しみです。アースィの新しいシリーズ、きっといいアイデアを出します」
早速今日も持ってきたスケッチブックを出そうとすると、貴明さんに笑われてしまいました。
「そんなに急がなくていいよ。それより、先にご飯を食べないと冷めてしまうよ」
「……あ」
どれだけ夢中になってしまっていたか、と恥ずかしくなって。急いでトートバッグにスケッチブックをしまった。



