『はい、次はジャンプしながら輪をくぐり抜けます!』
笛の音に合わせてイルカ達がジャンプしたり、ボールで曲芸したり。踊ったり。何頭ものイルカが同じタイミングでジャンプしながら、輪をくぐり抜けるのは驚いたけど感心した。
「すごい……! イルカちゃんって、本当に器用で賢いんですね」
「そうだね。イルカは体重比では人間に次いで二番目に脳が重いらしいから」
「そうなんですか! た……た、貴明さんは……すごく物知りなんですね」
いけない、どもってしまったけれど。ちゃんと名前を言うことができてホッとする。
すると、氷上さん……貴明さんはどうしてか楽しそうに笑う。
「残念、名字を呼ばれたらお仕置きしようと思ってたのにな」
「お、お仕置き……って?」
何だか不穏な空気を感じたから、恐る恐る訊いてみると。急に貴明さんは顔を近づけてくるから、心臓がばくばくと高鳴る。
「……ペナルティ。名前を一度呼び間違えるごとに、その場でキス一回」
「……え」
「もちろん、人前でも、ね。それが嫌なら、ちゃんと呼んで? もっとも……僕は間違えてもらった方が嬉しいけど?」
「……っ」
心臓、爆発するかと思った……。
そんなふうに艶めいた甘い声で耳元で囁かれたら。
逃げ出したりしなかった自分を褒めてあげたい。
もっとも……貴明さんが私の手をしっかり握りしめてたから、離れるなんて不可能でしたけど。
熱い……。
真夏の太陽の日射しよりも、触れた場所と彼の眼差しが。とても熱かった。



