いい具合に質問の趣旨がずらされ、真湖はロサンゼルスについていろいろと訊ねてた。ホッとした私は、そういえば氷上さんの姿がないことに気付いた。
(そういえば……私たちが戻った時からいなかったような)
その時はただ、買い物にでも行ったのかと思っただけだけど。あれから30分は経ってる。いくらなんでも遅い……。
心配になって捜そうと立ち上がりかけた時。人混みの中から氷上さんの長身が見えて安堵した。
「お~、貴明、どこ行ってたんだ? さ、おまえも飲め」
「……はい」
結城さんがクーラーボックスから缶ビールを渡せば、氷上さんは缶を開くと直ぐに口を着けて勢いよく飲みほした。
「お~いい飲みっぷりだな! いや、見惚れちまうな。そら、遠慮せずに飲め。男はザルなくらいがちょうどいいぞ」
氷上さんは結城さんが次に渡した缶ビールもあっという間に空にすると、次は自分でクーラーボックスから缶ビールを取り出すと勢いよく空ける。
3本目までほぼイッキ飲みで、危ないんじゃないかと心配になった私は、別のクーラーボックスからミネラルウォーターを取り出した。
「あの……お水、飲んだ方がいいと思います。アルコール……薄めないと」
私が差し出したミネラルウォーターのボトルを、氷上さんはじっと見てから手に取ってくれた。
「……ありがとう。いただくよ」
彼はむしるようにボトルのフタを開くと、ごくごくと水を飲みこむ。
(様子が変だ……なにかあったの?)
彼がペットボトルのフタを締めようとした時ちょっとこぼしたから、拭こうかとハンカチを手に彼のそばに座った時……フワリと香るものがあり、体が強張った。



