いよいよ、始まるんだ。 そんな実感が湧いてくる。
アニメの放送は10月からでまだ半年近く先だけど、それまではきっとあっという間だ。
「鵜野さん、試作品の完成度はどうですか?」
いきなり氷上さんに話を振られ、ハッとなった私は資料を置くと、アースィのぬいぐるみを両手で持った。
一見ただのぬいぐるみにしか見えないけど、実は私の発案でちょっとしたギミックが施してある。それが吉と出るか凶と出るかはわからなかったけど。モニター調査ではすこぶるいい評価らしく、ホッと胸を撫で下ろした。
手のひら大のぬいぐるみともう少し大きめのぬいぐるみは合格点。けど、ストラップ程度の大きさのマスコットは、作りが甘くてこれではダメだと思う。
私がそれを指摘すると、仕上げ方に関して話し合い議論を重ねる。縫製に詳しい訳ではない男性陣に説明するのは骨が折れたけど、私が裁縫道具で具体的に仕上げてみせれば納得してもらえた。
やはり、モニター調査でも女性からマスコットの仕上げの荒さを指摘されていたらしい。デザイナーと仕様変更を詰める、と氷上さんが請け負ってくれて。やっと私も役立てたとホッと息を吐いた。



