「ほっほっほ。そう警戒せんでもよい。ただのジジイのたわ言じゃよ」
ステッキを両手で持った洋平おじいちゃんは、カラカラと笑い声を上げる。
「ただ、気になるだけでな。昨今の業界の冷え込みは厳しい……市場は縮小するばかりで明るい話題は滅多にないでのう。
じゃから、結実くんの仕事が立ち行かなくなれば。ワシのところで働くこともできるでな。いつでも言いなさい」
私の仕事の心配をしてくださってると解って、心がぽかぽかと温かくなる。
確かに、雑貨店を取り巻く状況は厳しい。インターネット通販も活気があるし、話題になる新商品があっても長く売れるものは滅多にない。
「ありがとうございます……でも、まだ頑張ってみますね」
お話はありがたいけど、私はミラージュから離れるつもりはなくてお断りすると。洋平おじいちゃんは困ったように笑った。
「そうかね。ま、またいつでも言っておくれ。結実ちゃんにならいつでも席を空けておくからの」
その時の“洋平おじいちゃん”の笑顔が……なぜか、見たことがあるような気がして。思わずまじまじと見てしまいました。
(誰だろう……洋平おじいちゃんが誰かに似てると思うのは……気のせい……なのかな?)



