手のひらに載ったのは、銀色に輝くシンプルなデザインの指輪。
え……と、固まるしかない。
私が渡したチョコレートは大したお値段ではなかったし、マスコットも手作りでこんな高価なお返しを頂く理由がない。
「あ……あの。こ……これは」
「鵜野さんがよければ、付けてみてください」
「……で、でも……あの、わ……私。こんな……高いものを……頂くのは……」
情けないことだけど、体も手も声も震えてきた。
だって、いろいろと疎い私だって知ってる。男性が女性に指輪を贈る意味くらいは。
(駄目だ……受け取っては。断らなきゃ)
ギュッと手のひらに包んだ後、段差から立ち上がる。そして、躊躇いながら氷上さんの大きな手に触れた。
触れた一瞬、ビクッと引っ込めてしまったけれど。思い切って彼の手に指輪を返した。
「い、いただけません……あの……わ、私……そんなに大したものを差し上げた訳では……ありませんから」
私が氷上さんにプレゼントしたチョコは、動物のチョコレート詰め合わせ。クマやウサギやいろんな動物が入ってて、可愛らしすぎるけれど。彼なら喜んでくれるかなって思っただけ。
金額だってせいぜい500円と控えめにしておいたのに。氷上さんがプレゼントしてくれた指輪は、とてもじゃないけど三倍返しどころには見えない。下手したら10倍かそれ以上。友達ですらないのだから、到底受け取る訳にはいかなかった。



