「ねぇ、悠斗」

私は思い切って声をかけた。

「私たち、やっぱり前みたいに関われない?」

キミと話したい。

前と同じように、トモダチでいたい。

嫌がらせでもいいから、関わりたい。

「悪いけど、俺愛梨に軽いやつって思われたくないんだよ。
お前と一緒になんていたら勘違いされんだろ」

青木先輩のこと……名前呼び。

そんなに……

だったら勘違いされたくないよね。

私と一緒にいたら勘違いされる……

「ごめん……」

辛い辛い苦しい苦しい

何で?

そうか

私は悠斗が

好きだったんだ。

だからトモダチから進展しようとしなかった。

彼女になれなくてもいいから、近くにいたかった。

だけど

どうせ近くにいれないなら

「悠斗……」

「ん?」

「私、私悠斗のことが好き」

「は?」

「悠斗の近くにいたかったから黙ってたけど、私は悠斗のことが

好き…でした」

「……」

悠斗は一瞬目を見開いて、そして

私に謝った。

「悪ぃ」

そっか、だよね

断られるよね。

「俺、お前のこと騙してた」

は?

「愛梨、聞いてたんだろ」

えっ

マズい

「大丈夫よ、そんなに驚かなくても」

「でも……
あの、勘違いしないでください」

「うふっふふふっ」

私は本気で謝ったけど……

青木先輩、笑ってる?

「愛梨、笑いすぎだ」

「だってここまでころっと騙されてくれるから……」

へ?

騙される?

「あ〜その……
愛梨は俺の従姉なんだよ」

「それってどういう……」

「つまりね、悠斗はあなたにヤキモチを妬いて欲しかったのよ」

「や、ヤキモチ?」

「そうよ」

「おい愛梨!」

「いいじゃない。照れ屋な従弟の話、させてくれたって。
それでね、もう悠斗ったらあいつは好きなヤツがいるのかとかってずっとうるさかったんだから。
それに一週間たってもあいつが何も言ってこないとも……」

「愛梨!」

「あら、じゃあ自分から言うの?」

「そうすっから出てけ」

「残念」

「早くしろよ」

ピシャッ

教室のドアが乱暴に閉められる。

「……サキ。
俺は……お前が……」

ドクンドクン

脈打つ私の心臓の音。

「好きだ……誰よりも」

「私も悠斗のこと
大…好き」

私も悠斗のことが大好き。

他の誰よりも大好きだから。

「ありがと……悠斗」

私の出した声は小さくて

自分の心臓の鼓動に負けるんじゃないかと思うくらいだったけど

なぜか教室に響いたように感じた。