「よう、サキ
どうした?嫌そうな顔して」

あんたのせいだ、あんたの

私が学校で本を読んでいると佐倉 悠斗が話しかけてきた。

「おはよう
じゃあね」

私は再び読んでいた本に視線を戻す。

そして、早くいなくなれオーラを出しまくる。



パタン

本が閉じられた。

「ちょっと、何すんの」

しおりも挟んでないのに。

「無視するからだよ」

「は?返事したじゃん
おはようって」

「そんなの会話じゃねぇだろ。
体がチビだと脳みそも小さくなるのな」

そう言って私の頭に手をおく悠斗。

「ーーーーッ
あんたには言われたくない!
このシワなし脳みそ!」

私も悠斗の頭を叩いてやろうと思って手をのばすが、148cmの私ではもうすでに180cm近くある悠斗の頭にはとどかない。

「本当にチビだな」

「るっさい」

「しっかり牛乳飲めよ。
もしかしたら1mmくらいなら伸びっかもしれねぇぞ」

余計なお世話。

「もうそれ返してよ」

「とどくのか?」

「は?とどくし」

「そうか?ほれほれ」

「あんたが手ぇあげたらとどくわけないでしょ」

こんなやり取りは

小学校の頃から同じ。

だけど

私たちの間に

恋が生まれることはない。