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「…いくつ貰った?」


朝一、教室に着いたばかりの俺に駆け寄ってきた苺ちゃん。


「え?…何を?」


その顔はやけに拗ねているようにも見える。


「…決まってるでしょ!今日は何の日だと思ってるの。」

「…ん?2月14日…あぁ、バレンタインか。俺学校来たばっかだし、誰にも何も貰ってないよ?」



そっか、今日はバレンタインか。

義理でもいいから優ちゃんくれねぇかな〜。

いいなぁ、松風の野郎 優ちゃんから本命チョコ貰うんだろうな〜。


「貰っちゃだめだからね。」

「…え?」


そんなこと考えてた俺に、いつもより少し弱々しく、だけどハッキリとそう告げた苺ちゃんを見つめる。


「…誰からもチョコ貰っちゃだめ。」


ほんのり頬を染めて呟く苺ちゃんは、名前の通りイチゴみたい。