「先輩、ワガママに付き合ってくれてありがとう。」


苺ちゃんの家の前。

送り届けた俺に、珍しく遠慮がちに声を発した苺ちゃん。


「どういたしまして。寒いから早く入れ。」


「ん。先輩も帰り気をつけて。」

”無事に家に着いたら一応LINEして”と続けた苺ちゃんに


「おう、りょーかい!じゃ。」


それだけ言って手を上げれば、苺ちゃんも片手を上げてくれた。


帰りながらふと思う、

苺ちゃんはなんで俺に電話をかけてきたんだろう。何か嫌なことでもあったんだろうか?

……俺といたことによって、嫌なことを少しでも忘れられてたら良いけど。