翌日の夕方。
定時になり、仕事を終えた愛美は“居酒屋 やまねこ”に向かった。
健太郎は厨房で忙しそうに料理を作っている。
「健太郎。」
愛美はカウンター越しに健太郎に声を掛けた。
「お、早いな。」
「仕事終わったから。あ、これご馳走さま。」
お弁当箱を返すと、健太郎はそれを受け取って満足そうに笑う。
「今日も完食だな。うまかったか?」
「うん、美味しかった。」
あの日以来、健太郎は何事もなかったように、幼馴染みの顔で笑っている。
抱きしめたり口説いたりする事もなくなった。
健太郎とはやっぱりこの距離感でちょうどいいと愛美は思った。
しばらくして支部のオバサマたちが大方そろった頃、個室の座敷で新人歓迎会は始まった。
ところせましとテーブルに並べられた健太郎の料理を、みんなは美味しそうに口に運ぶ。
愛美は緒川支部長から離れた出入り口に近い場所で、料理を口にしながらウーロン茶を飲んでいた。
新人の3人は緒川支部長のそばに座っている。
緒川支部長の隣には、当たり前のように佐藤さんがいる。
新人歓迎会なのだから、緒川支部長の隣に新人の佐藤さんが座っている事は、不思議でもなんでもない。
ただ隣同士で座って話しているだけで、ベタベタしているわけでもないのに、まるで緒川支部長と佐藤さんの二人だけが、周りから切り取られたように見えてしまう。
(それって…客観的に見て、二人がお似合いだからかな?それとも私が私情をはさみすぎてる?)
定時になり、仕事を終えた愛美は“居酒屋 やまねこ”に向かった。
健太郎は厨房で忙しそうに料理を作っている。
「健太郎。」
愛美はカウンター越しに健太郎に声を掛けた。
「お、早いな。」
「仕事終わったから。あ、これご馳走さま。」
お弁当箱を返すと、健太郎はそれを受け取って満足そうに笑う。
「今日も完食だな。うまかったか?」
「うん、美味しかった。」
あの日以来、健太郎は何事もなかったように、幼馴染みの顔で笑っている。
抱きしめたり口説いたりする事もなくなった。
健太郎とはやっぱりこの距離感でちょうどいいと愛美は思った。
しばらくして支部のオバサマたちが大方そろった頃、個室の座敷で新人歓迎会は始まった。
ところせましとテーブルに並べられた健太郎の料理を、みんなは美味しそうに口に運ぶ。
愛美は緒川支部長から離れた出入り口に近い場所で、料理を口にしながらウーロン茶を飲んでいた。
新人の3人は緒川支部長のそばに座っている。
緒川支部長の隣には、当たり前のように佐藤さんがいる。
新人歓迎会なのだから、緒川支部長の隣に新人の佐藤さんが座っている事は、不思議でもなんでもない。
ただ隣同士で座って話しているだけで、ベタベタしているわけでもないのに、まるで緒川支部長と佐藤さんの二人だけが、周りから切り取られたように見えてしまう。
(それって…客観的に見て、二人がお似合いだからかな?それとも私が私情をはさみすぎてる?)



