給湯室でカップを洗おうとすると、第一支部のオバサマたちが、賑やかにエレベーターから降りてきた。
支部には向かわず、喫煙スペースでタバコを吸いながらおしゃべりをしている。
(相変わらずやかましいな、第一支部は。)
「だから絶対にあやしいって!」
「ホントに?」
イヤでも聞こえてくる大きな声に、愛美は何があやしいのだろうと首をかしげた。
「だって私、見たのよ!二人でレストランから出て来て、隣のジュエリーショップに入って行ったの。仲良く肩寄せ合って、指輪選んでたんだから!」
「見間違いじゃないの?」
「見間違いなんかじゃないって!あれは緒川支部長と、すごい美人な新人の…。」
「えーっと…佐藤さんだっけ?」
「そう!間違いない!!」
その声は愛美の耳を通り抜けていく。
(え…?支部長と佐藤さんが…?)
まさか、そんなはずはない。
きっと何かの間違いだ。
聞こえてくる噂話に気を取られ、蛇口からは水が流れ続ける。
(違う、きっと仕事で…。)
愛美は我に返り、慌てて水を止めた。
おしゃべりに夢中になっているオバサマたちに気付かれないように、静かに給湯室を出て支部に戻った。
お弁当を食べ終わる頃、峰岸主管と佐藤さんが支部に戻ってきた。
愛美はすれ違いざまに、思わず佐藤さんの手元を見た。
(今日は見た事のない指輪してる…。)
佐藤さんが指輪をしていたからと言って、その指輪が緒川支部長から贈られた物だとは言い切れない。
きっとあれは佐藤さんが前から持っていた物だと、愛美は自分に言い聞かせた。
支部には向かわず、喫煙スペースでタバコを吸いながらおしゃべりをしている。
(相変わらずやかましいな、第一支部は。)
「だから絶対にあやしいって!」
「ホントに?」
イヤでも聞こえてくる大きな声に、愛美は何があやしいのだろうと首をかしげた。
「だって私、見たのよ!二人でレストランから出て来て、隣のジュエリーショップに入って行ったの。仲良く肩寄せ合って、指輪選んでたんだから!」
「見間違いじゃないの?」
「見間違いなんかじゃないって!あれは緒川支部長と、すごい美人な新人の…。」
「えーっと…佐藤さんだっけ?」
「そう!間違いない!!」
その声は愛美の耳を通り抜けていく。
(え…?支部長と佐藤さんが…?)
まさか、そんなはずはない。
きっと何かの間違いだ。
聞こえてくる噂話に気を取られ、蛇口からは水が流れ続ける。
(違う、きっと仕事で…。)
愛美は我に返り、慌てて水を止めた。
おしゃべりに夢中になっているオバサマたちに気付かれないように、静かに給湯室を出て支部に戻った。
お弁当を食べ終わる頃、峰岸主管と佐藤さんが支部に戻ってきた。
愛美はすれ違いざまに、思わず佐藤さんの手元を見た。
(今日は見た事のない指輪してる…。)
佐藤さんが指輪をしていたからと言って、その指輪が緒川支部長から贈られた物だとは言い切れない。
きっとあれは佐藤さんが前から持っていた物だと、愛美は自分に言い聞かせた。



