二人でイチゴを食べ、紅茶を飲みながら話していると、話題は自然と仕事の事になった。

「それにしても…今日の夕方の契約書類はすごい数でしたね。」

「ああ…ごめんね、ギリギリなってあんな数…大変だっただろ?」

「まぁ…あれが私の仕事ですからね。あんなにたくさんどうしたんですか?」

「俺のお客さんがエステサロン経営しててね。前からスタッフに保険の話をさせて欲しいって頼んでたんだ。」

エステサロンと聞いて、道理で契約者が女の人ばかりだったはずだと愛美は納得した。

「先週別の用があって連絡したら、今日なら店は閉めて店内で研修とかするから来ていいよって。その時に保険のタイプとか付加する特約を選んでもらったり説明したり…。で、今日まとめて手続きしてきた。」

「既契約者からの紹介とは言え職域開拓しちゃうなんてすごいですね。担当はやっぱり…。」

「オーナーの希望でもあるし当分は俺が担当するけど、いずれは支部の誰かに任せるつもり。俺が契約もらっても個人の成績にはならないから。」

女性ばかりの職場に、若くてイケメンでおまけに独身の緒川支部長が訪問するとなると、きっとそのエステサロンの女性スタッフたちは色めき立つのだろう。

(しかもエステサロン…。きっときれいな人ばっかりなんだろうな…。支部長は嫌いだけど中身は政弘さんだと思うとなんか複雑…。)