「幼馴染みとしてじゃなくて…愛美の特別な男になりたかった。愛美が望むなら仕方ないってまた幼馴染みのふりしてたけど…やっぱり俺は愛美が欲しい。」

「…離して。」

「イヤだ。今度こそ、体だけじゃなくて心も全部、愛美を俺のものにしたい。」

健太郎は愛美の体をシートに押さえつけ、真剣な目で愛美の目をじっと見つめた。

「愛美、俺と結婚してくれ。絶対に幸せにするから…。」

愛美は目をそらさないように、健太郎の目を見つめ返した。

「私にも好きな人が…ずっと大切にしたい人がいるから、健太郎とは結婚できない。」

「その男よりずっと愛美を愛して大事にする。だから俺の事好きになれ。」

愛美はゆっくりと首を横に振る。

「健太郎がどれだけ愛してくれても、私は健太郎に恋愛感情持てないもん。」

「……なんで?」

「昔さ…付き合いだしたら当たり前みたいにキスとかそれ以上の関係になって…心と体がバラバラになったみたいで、すごく苦しかった。」

「そんな事思いながら俺に抱かれてたの?」

「だって…男の子と付き合ったのも初めてだったし、断ったら嫌われるかもとか…。別れようって言ったら、もう幼馴染みとしても一緒にいられなくなるかもって…。」

健太郎は愛美の肩に額を乗せて、大きなため息をついた。

「そっか…昔も今も完全に俺の片想いか…。」