オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2

愛美と由香が写真を見ながら、これはちょっと地味だとか、それはかわいすぎるなどと話していると、厨房から出てきた健太郎がお茶を持って愛美の隣の席に座った。

「ちょっと落ち着いたから休憩。で、衣装は決まったのか?」

「なかなか決まらない。由香が目移りするの、わかる気がする。」

健太郎はお茶を飲みながら写真を眺める。

「消去法で行くか?」

「でもさ…人生一度の晴れ舞台だよ?どうせなら一番似合う衣装で、大好きな人と幸せになりますって誓いたいよね。」

「意外とロマンチストなんだな、愛美は。」

「…そんな事ない。」

(私は政弘さんに、世界一の花嫁さんだって思われたいだけだもん。)

ロマンチストなんて、ガラでもない事を言われると無性に恥ずかしい。

“政弘さん”との結婚式を思い浮かべていた事まで読まれたのではないかとドキドキした。

「おっ、これなんかいいな。」

健太郎が一枚の写真を手に取った。

そのドレスの写真を健太郎から受け取り、愛美は怪訝な顔で眺める。

レースの花やリボンがあしらわれ、ふんわりと柔らかなイメージのウエディングドレス。

確かにかわいいとは思うけれど、面長で美人顔の由香にはかわいすぎるような気がする。

「んー、かわいいけど、由香のイメージには合わない気がする。」

「当たり前だ、こんなフワフワしたドレス、由香には似合わん。由香にはもっと大人っぽいのが似合うに決まってる。」

健太郎の意味不明な言葉に、愛美は首をかしげた。