オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2

大方の料理を食べ終わり、飲み物と簡単なおつまみの皿だけをテーブルに残して、由香が結婚式場のパンフレットやドレスの写真などを広げ始めた。

「わぁ…綺麗だね…。」

ウエディングドレスにカクテルドレス、白無垢に色打ち掛け。

いろいろな衣装を身にまとった由香の写真が並ぶ。

「最初はこれがいいって思ったんだけど…別の日に試着会があってね。いろいろ試着してるうちに、どれがいいのかわからなくなって。」

「武が選んであげたら?」

「由香が気に入ってれば、俺はどれでもいいんだよ。全部似合うし。」

「それはノロケなのか…?」

結婚を目前に控えた二人は、幸せそうなオーラを放っている。

(私とはえらい違いだよ…。)

「武の意見はあてにならないから、愛美に一緒に選んでもらおうかなって。愛美だったら、自分の結婚式の時はドレスと白無垢、どっちがいい?」

「うーん…そうだなぁ…。ドレスももちろん憧れるけど、こうして見ると白無垢もいいね。」

愛美は不意に、ウエディングドレス姿の自分の隣に、タキシード姿の“政弘さん”を思い浮かべた。

(政弘さん…きっと素敵だろうな…。)

ぼんやりと写真を眺める愛美に、由香が不思議そうに声を描ける。

「愛美、どうしたの?」

「いや…なんでもない…。」


つらい恋愛ばかりを経験して、男運がない自分はきっと幸せになんてなれないと思ってきた。

だけど“政弘さん”のおかげで、愛する人に愛され大切にされる喜びや、自分もまた大切にしたいと思う事の幸せを知った。

それと同時に、大切な人を失う怖さも覚えた。

(ずっと一緒にいようって言ってくれたけど…ホントにずっと一緒にいてくれるかな…?)