オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2

翌日、土曜日。

愛美は自宅で一人、のんびりと家事をして過ごしていた。

“政弘さん”は今日も支部に出勤している。

増産月が終わり落ち着いたとは言え、休日の今日も出勤している職員がいるからだ。

昨日の晩も仕事の後に営業部長に飲みに行こうと誘われたとかで、“政弘さん”とは会えなかった。


多く作りすぎた夕べのおかずで昼食を済ませた愛美は、昼過ぎから買い物に出掛けた。

今晩のおかずは何にしようか。

“政弘さん”は仕事の後に来るだろうか。

そんな事を考えながらカートを押した。

(今日は牛肉が安い…。久しぶりにハッシュドビーフにしようかな…。)

牛肉のパックを手に取り、手頃な量の物を選んでかごに入れた。

“政弘さん”と付き合い始めてから、仕事で疲れていても“政弘さん”が美味しそうに食べる顔を思い浮かべると、一人の時は面倒だった食事の支度が億劫ではなくなった。

(宮本さんたちは料理のできる人がいいって言ってたけど…私は政弘さんに自分の作った料理を食べてもらいたいから、政弘さんが料理できなくても別に気にならないな…。)

今はそう思っているけれど、結婚したら自分も変わるのだろうか?

独身の愛美にとって、結婚は未知の世界だ。

ましてや子供のいる生活なんて、想像もつかない。

“政弘さん”と結婚の話をした事はまだないけれど、いずれはそうなればいいなと思う。

だけどそれは、まだまだ先の話だとも思う。

(今は政弘さんと一緒にいられるだけで、じゅうぶん幸せ…。会いたいな、政弘さん…。今日は会えるかな…。)