金曜日。
緒川支部長のデスクの上のデジタル時計が、ピピッと電子音を鳴らして7時ちょうどを知らせた。
それを合図にしたかのように、高瀬FPが鞄を持って席を立った。
「それじゃあ支部長、お先に失礼します。」
「ああ、お疲れ。」
忙しかった増産月が終わったばかりなので、営業職員たちの退社時間がいつもより早い。
6時半前には、一番最後まで残っていた赤木さんと宮本さんが退社した。
赤木さんと宮本さんは、明日の朝の訪問のために書類を作成しながら、愛美と健太郎の噂話をしていた。
二人はお似合いだとか、昔付き合ってたんじゃないかとか、健太郎が愛美を抱き寄せて何か言っているのを第一支部の職員が見ただとか。
緒川支部長はそれを気にしないようにしようと無関心を装いながらも、デスクの端に置いた弁当箱が視界に入り余計に苛立っていた。
緒川支部長と愛美が密かに付き合っている事を知っている高瀬FPと峰岸主管は、気の毒そうに緒川支部長を見ていた。
噂話がヒートアップしてなかなか途切れないので、“おしゃべりしてる暇があったら早く帰って夕飯の支度でもしなさいよ”と峰岸主管がたしなめた。
ようやく赤木さんと宮本さんが退社すると、峰岸主管は緒川支部長の肩をポンポンと叩いて、“支部長、あんな根も葉もない噂なんか気にしちゃダメよ”と笑った。
なんでもないふうを装っていたのに、そんなにわかりやすく不機嫌な顔をしていたのだろうかと、緒川支部長は苦笑いを浮かべた。
緒川支部長のデスクの上のデジタル時計が、ピピッと電子音を鳴らして7時ちょうどを知らせた。
それを合図にしたかのように、高瀬FPが鞄を持って席を立った。
「それじゃあ支部長、お先に失礼します。」
「ああ、お疲れ。」
忙しかった増産月が終わったばかりなので、営業職員たちの退社時間がいつもより早い。
6時半前には、一番最後まで残っていた赤木さんと宮本さんが退社した。
赤木さんと宮本さんは、明日の朝の訪問のために書類を作成しながら、愛美と健太郎の噂話をしていた。
二人はお似合いだとか、昔付き合ってたんじゃないかとか、健太郎が愛美を抱き寄せて何か言っているのを第一支部の職員が見ただとか。
緒川支部長はそれを気にしないようにしようと無関心を装いながらも、デスクの端に置いた弁当箱が視界に入り余計に苛立っていた。
緒川支部長と愛美が密かに付き合っている事を知っている高瀬FPと峰岸主管は、気の毒そうに緒川支部長を見ていた。
噂話がヒートアップしてなかなか途切れないので、“おしゃべりしてる暇があったら早く帰って夕飯の支度でもしなさいよ”と峰岸主管がたしなめた。
ようやく赤木さんと宮本さんが退社すると、峰岸主管は緒川支部長の肩をポンポンと叩いて、“支部長、あんな根も葉もない噂なんか気にしちゃダメよ”と笑った。
なんでもないふうを装っていたのに、そんなにわかりやすく不機嫌な顔をしていたのだろうかと、緒川支部長は苦笑いを浮かべた。



