オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2

コーヒーを飲んで一息ついた後、愛美はいくつかの封書と支部の財布を持って席を立った。

緒川支部長が顔を上げる。

「菅谷、出掛けるのか?」

「郵便局に行ってきます。何かついでがあれば…。」

「いや…俺も昼飯買いに行こうと思ったんだけど…。高瀬、まだもう少し支部に居るか?」

緒川支部長に声を掛けられ、お茶を飲んでいた高瀬FPがニコリと笑った。

「ハイ。留守番してますから、どうぞ行ってきて下さい。」

お弁当くらい頼めばいいのにと、愛美が首をかしげた時。

「失礼しまーす。」

大きな声に振り返ると、支部の入り口に健太郎が立っていた。

(げっ、健太郎!!なんの用だ?!)

「あ、愛美!もう飯食った?」

「食べたけど…。」

「そっかぁ、一足遅かったな。」

「何?」

健太郎はビニール袋を差し出した。

「これ、ランチの試作。愛美に味見してもらおうかと思って持って来たんだけど…。さすがにもう食えないよなぁ。」

「うん、無理。お腹いっぱい。」

「どうしようか…。誰か昼飯まだの人、いないかな。」

「あ、それなら支部長が…。」

愛美は振り返って緒川支部長を見上げた。

「支部長、あれもらったらどうですか?」

「え…俺が?」

健太郎はニコニコしながら近付いてきて、緒川支部長にランチの試作品の入ったビニール袋を差し出した。

「良かったらどうぞ!」

「えっと…いくらかな?」

「試作品なんでお金はいいです。その代わりと言ったらなんですけど、感想聞かせてもらえたら助かります。」

「わかった。それじゃあいただきます。」