自販機で缶コーヒーを買うと、緒川支部長は支部長席に戻って行った。
「支部長は料理なんてしなさそうね。」
残りのおかずを口に運びながら宮本さんが呟くと、竹山さんもふりかけのかかった御飯を口に入れてうなずいた。
「亭主関白になりそう。奥さんが具合悪くても“飯はまだか!”とか言ってね。」
宮本さんは食べ終わったお弁当箱をナフキンで包みながら支部長の方をチラッと見た。
「夫にするならやっぱり、料理上手な優しい人がいいわね、菅谷さん。」
「ええっ…。」
(だから私に振るなってば!)
さっきまで小声で話していた宮本さんに突然大きな声で話しかけられた愛美は、からになった弁当容器を思わず落としそうになった。
「そりゃまあ…できないよりは、できるに越した事はないですけど…。」
「ねーっ、そうよね!今時、男の人だって料理くらいはできないとね!共働きなら尚更よ!」
「外に出て働いてるのは同じなのに、家に帰れば家事も育児もしなきゃいけないのよ。せめて具合が悪い時くらいは食事の用意して欲しいでしょ?」
「そう…ですね…?」
(そんなのよくわかんないよ、私まだ独身だし…。)
「菅谷さんも結婚相手はちゃんと選んだ方がいいわよー!」
「間違っても、一人じゃなんにもできない人は選んじゃダメだからね!」
「はぁ…。覚えておきます…。」
独身の自分にはまだよくわからないけれど、これが世の中の仕事を持つ主婦の本音なのかも知れないと思いながら、愛美はコーヒーを淹れて内勤席に戻った。
「支部長は料理なんてしなさそうね。」
残りのおかずを口に運びながら宮本さんが呟くと、竹山さんもふりかけのかかった御飯を口に入れてうなずいた。
「亭主関白になりそう。奥さんが具合悪くても“飯はまだか!”とか言ってね。」
宮本さんは食べ終わったお弁当箱をナフキンで包みながら支部長の方をチラッと見た。
「夫にするならやっぱり、料理上手な優しい人がいいわね、菅谷さん。」
「ええっ…。」
(だから私に振るなってば!)
さっきまで小声で話していた宮本さんに突然大きな声で話しかけられた愛美は、からになった弁当容器を思わず落としそうになった。
「そりゃまあ…できないよりは、できるに越した事はないですけど…。」
「ねーっ、そうよね!今時、男の人だって料理くらいはできないとね!共働きなら尚更よ!」
「外に出て働いてるのは同じなのに、家に帰れば家事も育児もしなきゃいけないのよ。せめて具合が悪い時くらいは食事の用意して欲しいでしょ?」
「そう…ですね…?」
(そんなのよくわかんないよ、私まだ独身だし…。)
「菅谷さんも結婚相手はちゃんと選んだ方がいいわよー!」
「間違っても、一人じゃなんにもできない人は選んじゃダメだからね!」
「はぁ…。覚えておきます…。」
独身の自分にはまだよくわからないけれど、これが世の中の仕事を持つ主婦の本音なのかも知れないと思いながら、愛美はコーヒーを淹れて内勤席に戻った。



