オバサマたちは健太郎からチラシを受け取り、気になって仕方ないといった様子で愛美との事を尋ねる。

「菅谷さんと仲良しなの?」

「幼馴染みなんでよく遊びましたよ。幼稚園から高校までずっと一緒だったんです。」

「ねぇ、子供の頃の菅谷さんってどんな子だったの?」

「そうですねぇ…気が強くて男みたいなのに怖がりで…。」

「健太郎、そんな事よりお店の宣伝を…。」

余計な事を言われては困ると愛美が話をそらそうとすると、健太郎がニヤッと笑った。

「えー?ホントの事じゃん。そういや愛美、まだアレ抱いて寝てんの?」

「ちょっ…!恥ずかしいからやめてよ!!」

愛美は慌てて健太郎の腕を掴んだ。

オバサマたちは更に目を輝かせて健太郎に詰め寄る。

「やだ、意味深ねーっ!アレってなんなの?」

「寝る時の事まで知ってるなんて、もしかして二人は付き合ってたとか?」

「えぇっ?!違いますよ!!」

「ホントにぃー?ムキになるところが怪しいわぁ。」

「だったらこれからでも付き合っちゃえば?二人お似合いよぉ?」

愛美が否定しようとすればするほど、オバサマたちはニヤニヤと楽しそうにしている。

「ホントになんでもないですから!」

(ああもうしつこい!!仕事しろ、仕事!!)

「お似合いだって。俺らマジで付き合っちゃう?」

健太郎の能天気な一言が、愛美のイライラに拍車を掛けた。

「そういえば、大人になったら結婚しようって約束しなかったっけ?」

(このバカ!!いつの話だ!!)