きりがいいので、一旦手を止めてお昼にしようと愛美が思っていると、ゲンナリした顔で緒川支部長が戻ってきた。
(こりゃ相当疲れてるな。)
「おかえりなさい。お疲れ様です。」
出先から戻ってきたわけでもないのに、愛美がわざとそう言うと、緒川支部長は心底疲れた顔をしてネクタイをゆるめた。
「ただいま…。ホントに疲れた…。」
「支部長、お昼まだでしょう。」
「腹減った…。とりあえず飯食おう…。」
支部長ともなると何かと苦労が絶えないんだろうなと思いながら、愛美は急須にお湯を注ぐ。
「これ、俺の弁当?」
「そうみたいですね。」
愛美が緒川支部長の湯飲みにお茶を淹れていると、背後でなんとも言いがたい声が聞こえた。
「どうかしました?」
緒川支部長はお弁当の蓋を開けたまま、下を向いて頭を抱えている。
愛美はお弁当の中を覗いて思わず吹き出した。
(レバニラ…!)
昨日の夕方、健太郎から“弁当を注文する人は名前の下に、アレルギーとか嫌いな食べ物があったらメモしておいて”とメールが来た。
その時は“これも今後のためのリサーチなのかな”と思ったのだが、どうやらそれだけではなかったらしい。
緒川支部長は大嫌いなレバーをメインのおかずにされて、ガックリうなだれている。
(子供みたいな事して…。これは仕返しのつもりか、健太郎?)
「お腹空きましたね。私もお昼にします。」
愛美は休憩スペースの椅子に座り、トートバッグの中からお弁当を取り出した。
緒川支部長を見ていると、耳を垂れて尻尾をうなだれている大型犬のようで、ちょっとかわいそうかもと思ったりする。
(仕方ないなぁ…。)
(こりゃ相当疲れてるな。)
「おかえりなさい。お疲れ様です。」
出先から戻ってきたわけでもないのに、愛美がわざとそう言うと、緒川支部長は心底疲れた顔をしてネクタイをゆるめた。
「ただいま…。ホントに疲れた…。」
「支部長、お昼まだでしょう。」
「腹減った…。とりあえず飯食おう…。」
支部長ともなると何かと苦労が絶えないんだろうなと思いながら、愛美は急須にお湯を注ぐ。
「これ、俺の弁当?」
「そうみたいですね。」
愛美が緒川支部長の湯飲みにお茶を淹れていると、背後でなんとも言いがたい声が聞こえた。
「どうかしました?」
緒川支部長はお弁当の蓋を開けたまま、下を向いて頭を抱えている。
愛美はお弁当の中を覗いて思わず吹き出した。
(レバニラ…!)
昨日の夕方、健太郎から“弁当を注文する人は名前の下に、アレルギーとか嫌いな食べ物があったらメモしておいて”とメールが来た。
その時は“これも今後のためのリサーチなのかな”と思ったのだが、どうやらそれだけではなかったらしい。
緒川支部長は大嫌いなレバーをメインのおかずにされて、ガックリうなだれている。
(子供みたいな事して…。これは仕返しのつもりか、健太郎?)
「お腹空きましたね。私もお昼にします。」
愛美は休憩スペースの椅子に座り、トートバッグの中からお弁当を取り出した。
緒川支部長を見ていると、耳を垂れて尻尾をうなだれている大型犬のようで、ちょっとかわいそうかもと思ったりする。
(仕方ないなぁ…。)



