オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2

少し前までは支部の職員を、お節介でうるさいオバサマたちだと愛美は思っていた。

仕事は仕事、プライベートはプライベートでキッチリ分けて、職場で自分の事を話すのは今も好きではないが、職場の人たちが自分の事を気に掛け心配してくれるのは、悪い気がしない。

興味を持って尋ねる事はあっても、決して深入りはしないし、無責任な噂話で人を傷付けたりしない。

人との距離感をさりげなく保とうとする職員たちの配慮が、心地いいと思えるようになった。

そんな事を思うのは、自分がこの支部のオバサマの色に染まって来たからかも知れないと、愛美は苦笑いを浮かべながら入力作業を進めた。



その後、支部に戻って来た職員たちが、立て続けに契約書類を愛美に手渡した。

かなり切羽詰まっているのだろう。

みんないつもより急いで昼食を済ませ、慌てて支部を出て行った。

(だから…取れる契約なら余裕持って取ろうよ…。こっちは一人で処理するんだってば…。)

慌ただしく職員が出入りして、切羽詰まった様子で愛美に契約書類を託すので、少しでも早く入力を済ませようとしているうちに、なんとなく昼食を食べそびれたままだ。

休憩スペースの上には、緒川支部長のお弁当だけが残っている。

緒川支部長は佐藤さんの地区に同行した後、お昼過ぎに一度戻ってきて、営業部に行ったきり1時間以上帰ってこない。

(部長に捕まったな…。今月の支部の成績がイマイチだから…。)