愛美は金井さんから受け取った契約書類のデータをパソコンに入力し始めた。
金井さんはお弁当を広げながら、愛美に話し掛ける。
「前に菅谷さんの好きなタイプ、聞いた事あったでしょ?」
「ええ、ありますね。」
「今もそれは変わらない?」
キーボードを叩きながら、愛美は考える。
(ただ長い時間一緒にいるだけが幸せ…?例えば政弘さんが、ろくに仕事もせずに私のそばにベッタリくっついてたら?)
“政弘さん”に限ってそんな事は有り得ないけれど、それぞれの生活があって始めて、二人でいる時間を幸せだと思える気がした。
「そうですねぇ…。とにかく長い時間一緒にいてくれる方がいいって、前は思ってましたけど…今はそうでもないです。」
「変わったの?」
愛美は手を止めて、椅子ごとクルリと金井さんの方を向いた。
「もちろん一緒にいられたら嬉しいですよ。でも私にも私の生活があるし、私だけを中心に相手の世界が動いてるわけじゃないですもんね。一緒にいない時も私の事をちゃんと想ってくれてるなら、それでいいです。」
「いい距離感ね。どんな人なの?」
付き合っている人がいると言ったわけではないのに、どんな人かと聞くという事は、愛美に大切な人がいると金井さんにはわかるのだろう。
職場ではプライベートをあまり明かさない愛美だが、いつも気に掛けてくれる金井さんには、なんとなく聞いて欲しいような気持ちになる。
「優しいですよ、すごく。何よりも私を大事にしてくれます。」
「そんなに想ってもらえて、お互い幸せね。」
「ハイ、幸せです。」
いつになく穏やかな笑みを浮かべる愛美を、金井さんは母親のような優しい目で見た。
「菅谷さんにお見合いのお世話する楽しみが減ったわねぇ。」
金井さんは笑ってそう言うと、美味しそうにお弁当を食べ始めた。
金井さんはお弁当を広げながら、愛美に話し掛ける。
「前に菅谷さんの好きなタイプ、聞いた事あったでしょ?」
「ええ、ありますね。」
「今もそれは変わらない?」
キーボードを叩きながら、愛美は考える。
(ただ長い時間一緒にいるだけが幸せ…?例えば政弘さんが、ろくに仕事もせずに私のそばにベッタリくっついてたら?)
“政弘さん”に限ってそんな事は有り得ないけれど、それぞれの生活があって始めて、二人でいる時間を幸せだと思える気がした。
「そうですねぇ…。とにかく長い時間一緒にいてくれる方がいいって、前は思ってましたけど…今はそうでもないです。」
「変わったの?」
愛美は手を止めて、椅子ごとクルリと金井さんの方を向いた。
「もちろん一緒にいられたら嬉しいですよ。でも私にも私の生活があるし、私だけを中心に相手の世界が動いてるわけじゃないですもんね。一緒にいない時も私の事をちゃんと想ってくれてるなら、それでいいです。」
「いい距離感ね。どんな人なの?」
付き合っている人がいると言ったわけではないのに、どんな人かと聞くという事は、愛美に大切な人がいると金井さんにはわかるのだろう。
職場ではプライベートをあまり明かさない愛美だが、いつも気に掛けてくれる金井さんには、なんとなく聞いて欲しいような気持ちになる。
「優しいですよ、すごく。何よりも私を大事にしてくれます。」
「そんなに想ってもらえて、お互い幸せね。」
「ハイ、幸せです。」
いつになく穏やかな笑みを浮かべる愛美を、金井さんは母親のような優しい目で見た。
「菅谷さんにお見合いのお世話する楽しみが減ったわねぇ。」
金井さんは笑ってそう言うと、美味しそうにお弁当を食べ始めた。



