オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2

宮本さんが楽しそうに笑って声を潜めた。

「オメデタなんでしょ?」

「え?」

「菅谷さんよ。いつ生まれるの?二人、結婚するんでしょ?」

質問の意味がやっとわかった健太郎は、吹き出しそうになるのを堪えながら愛美の方を見た。

愛美は、またこれかと額に手を当てている。

「だってさ、愛美。俺にも教えてくれよ。」

「もう…。」

(健太郎のやつ…面白がってるな?)

愛美はコーヒーを一口飲んでため息をついた。

「生まれないし、結婚もしません。そもそも私たちは付き合ってません。」

「えっ?オーナーの店で結婚式の話をしてたんじゃないの?」

「あれは…幼馴染みの友達が結婚するから、式の事でいろいろ相談に乗ってただけですよ。」

「なーんだ、そういう事…。良かったですね、支部長。」

(えっ、支部長?!)

愛美が慌てて振り返ると、いつの間にか緒川支部長がすぐ後ろに立っていた。

緒川支部長は眉間にシワを寄せて、仏頂面をしている。

(デジャヴ…?いつかもこんな事があったような…。)

愛美は慌てて立ち上がった。

「おかえりなさい、お疲れ様です。」

「ただいま…。みんな随分楽しそうだな。それだけの余裕があるって事は、今日の夕礼はいい話が聞けるんだろうな。」

緒川支部長はポケットの中で小銭をチャリチャリ鳴らしながら、ニヤリと笑った。

(目が笑ってないよ!)

緒川支部長の威圧的な笑みに怯んだオバサマたちは、慌てて立ち上がった。

「あーっと、こんな時間!今からもう一件行ってきます!」

「私も行ってきます!!」