オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2

「これつけてる愛美、見たいな。貸して、俺がつけてあげる。」

“政弘さん”はネックレスを手に取った。

愛美は髪を上げて、“政弘さん”がネックレスをつけてくれるのを待つ。

首筋に微かに触れる“政弘さん”の指先がくすぐったい。

ネックレスの金具を留めると、“政弘さん”はその細い首筋にそっと口付けた。

首筋に触れた唇の柔らかい感触に、愛美は思わずビクリと肩を震わせる。

「髪上げてるの、首筋が色っぽくていいね。」

「もう…何言ってるんですか…。」

愛美が少し赤い顔をして恥ずかしそうに呟くと“政弘さん”は込み上げる笑いを堪えた。

「ごめんって…。でもホラ、やっぱりすごく似合ってる。」

愛美はネックレスをした自分の姿をルームミラーに写して、満足そうに笑った。

「ありがとうございます。大事にしますね。」

「どういたしまして。気に入ってもらえて良かった。俺もずっと大事にするよ。」

“政弘さん”にはまだ何もプレゼントしていないのに、一体何を大事にするのだろうと、愛美は首をかしげた。

「大事にするって…何を?」

「愛美を。」

“政弘さん”は愛美を抱き寄せて、頬に軽く口付けた。

どこで誰が見ているかもわからないのに、土曜日の真っ昼間、しかも家族連れやカップルたちで賑わうショッピングモールの駐車場でいちゃつくなんて、もってのほかだ。

(こんなところで恥ずかしい…。)

愛美は赤い顔をしてうつむいた。