オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2

愛美は出掛ける支度を済ませ、鏡の前で服装や髪型をチェックしていた。

もうそろそろ“政弘さん”が迎えに来る頃だ。

二人でゆっくり出掛けるのはいつ以来だろう?

もしかしたらお正月以来かも知れない。


“政弘さん”の誕生日は、特別な事は何もできなかった。

かろうじて食事だけは一緒にしたけれど、豪華なディナーとか贅沢な物ではなく、いつものように仕事の後、愛美の部屋で愛美の作った普通の御飯を食べただけだった。

これから買い物に行って、約束していたように“政弘さん”に似合う洋服を選んで、プレゼントしようと思っている。

そう言えば、バレンタインデーも何もできなかった事を思い出した。

チョコを買おうかとも思ったけれど、お客さんから山ほどチョコをもらっていたのを見て、チョコを渡すのは辞めておこうと思った。

支部のオバサマたちはみんなでお金を出し合って、緒川支部長と高瀬FPに、チョコとネクタイをプレゼントしていた。

もちろん、愛美もお金を出した。

(仕事中に使えるようにネクタイなんかもいいかなって思ったけど、みんながネクタイにするって言ったからやめたんだった…。)

結局何がいいか思い浮かばず、その日もまたかろうじて愛美の部屋で一緒に食事だけはした。

男の人へのプレゼントを選ぶのは難しい。

どうせなら喜ばれる物を贈りたいけれど、あまり高価すぎる物を買う事はできないし、何をもらえば嬉しいのかがわからない。

本人に聞けばわかるのだろうが、“政弘さん”はきっと遠慮して、何が欲しいか言いそうにない。

今日は二人でいろんな店を回って“政弘さん”が気に入る物を選ぶ事にしよう。