付き合ってから初めて迎えた愛美の誕生日、この先も一生愛美には敵わないと完全降伏した。
どんなにジタバタしても、愛美の手の上で転がされているような気がした。
自分の方が6つも歳上のはずなのに、愛美にかかれば子供も同然で、愛美の仕草や言葉ひとつに感情が支配されている。
もっと強い男になって愛美を守りたいとは思うものの、すべてを包み込んでくれる愛美の手の内に居られる事は、この上なく幸せだと“政弘さん”は思う。
職場では虚勢を張っている自分も、愛美の前では無防備な自分も、どちらも間違いなく自分自身だ。
夕べ、仕事の時の姿のままで会いに行っても、愛美は“政弘さん”と呼んで、指先で優しく涙を拭って好きだと言ってくれた。
職場では相変わらずそっけなく無愛想な愛美を見て、仕事をしている時の自分は愛美に嫌われているのだとずっと思っていたけれど、佐藤さんとの話を聞いて動揺していたと言う事は、今はそうでもないのかも知れない。
そう言えば、いまだに“さん”付けで呼ぶ事や敬語で話す事について、愛美は“そこ、重要ですか?”と言っていた。
恋人同士なのだからもっと砕けた呼び方でも話し方でもいいはずなのに、なぜだろうと疑問に思う。
(後で聞いてみようかな…。)
そんな事を思いながら運転しているうちに、目的地にたどり着いた。
“政弘さん”は車を降りて、その店に足を踏み入れた。
どんなにジタバタしても、愛美の手の上で転がされているような気がした。
自分の方が6つも歳上のはずなのに、愛美にかかれば子供も同然で、愛美の仕草や言葉ひとつに感情が支配されている。
もっと強い男になって愛美を守りたいとは思うものの、すべてを包み込んでくれる愛美の手の内に居られる事は、この上なく幸せだと“政弘さん”は思う。
職場では虚勢を張っている自分も、愛美の前では無防備な自分も、どちらも間違いなく自分自身だ。
夕べ、仕事の時の姿のままで会いに行っても、愛美は“政弘さん”と呼んで、指先で優しく涙を拭って好きだと言ってくれた。
職場では相変わらずそっけなく無愛想な愛美を見て、仕事をしている時の自分は愛美に嫌われているのだとずっと思っていたけれど、佐藤さんとの話を聞いて動揺していたと言う事は、今はそうでもないのかも知れない。
そう言えば、いまだに“さん”付けで呼ぶ事や敬語で話す事について、愛美は“そこ、重要ですか?”と言っていた。
恋人同士なのだからもっと砕けた呼び方でも話し方でもいいはずなのに、なぜだろうと疑問に思う。
(後で聞いてみようかな…。)
そんな事を思いながら運転しているうちに、目的地にたどり着いた。
“政弘さん”は車を降りて、その店に足を踏み入れた。



