好きにさせて





そして、話は進んで放課後。


強制で引きずり込まれたのはカラオケのパーティールームだ。よくあるパターンである。


向かい側の席には何とまあ、意外とイケメンが揃っている。わたし面食いじゃないんだけど。


めんどくさいし、わたしは漫画の続きを読むためにカバンから単行本を取り出す。


すると。



「あれ、それ幼なじみがなんちゃらの漫画だよね?」


「…知ってるの?」



わたしの目の前に座る男が話しかけてきた。



「知ってる知ってる〜、妹がそれ集めててさ暇な時読むんだよね」


あっそう。


「漫画好きなんだ?」


「別に」



静かに読ませてくれ。
わたしに話しかけるな。





なんで、この漫画の主人公は言わないんだろう。家は隣同士、生まれた時からずっと一緒。同じ年で同じ学校で同じクラス、登下校は毎日一緒。


お互いがお互いを好きで、なのに幼なじみの関係から離れられない。




「バカじゃないの…」


「そうだね、でも気持ち分かるなぁ」




いつの間にか目の前に座っていた男はわたしの隣へと移動してきていた。



わたしの隣より他の女子の隣に座ったほうが楽しいと思うんだけどなぁ。



男はわたしの開く漫画を覗きながら言葉を続ける。



「誰だって好きな人には臆病になるもんだよ、嫌われるのは怖いでしょ」



「……………」



わたしには理解出来ない。


この漫画の幼なじみたちの葛藤は、ただ自分が可愛いだけだ。

傷つきたくない、幼なじみという関係が壊れるのが怖い、隣に住んでいるからこそ不安なのかもしれない、気持ちを伝えて気まずくなるというのが。

だとしても、それじゃあその程度の気持ちだと言うことなのだ。誰だって自分が可愛いのは当たり前だ。


だけど、それでも気持ちを伝えるのが“好き”と言うことなんじゃないか。



「四山さん?だっけ?恋したことある?」



「あるわよ、」


バカにしないで。