「…ん、…?」
「あ、目覚ましたか?」
コトハの声がして、数回瞬きをすると状況が見えてきた。
わたし、保健室のベッドで寝てる…?
「…コトハぁ、」
「ん?」
「…んーん」
「何も無いのかよ」
ここでありがとうと言うのはなんかちょっと違う気がした。でも、ありがとう。
少し、軽くなった気がする。
わたしが泣くときはああやってコトハが泣かせてくれる、そしていつの間にかわたしは眠っちゃうんだよね。
久しぶりだなぁ、この感じ。
同じ年のくせにいつもコトハは大人びていた。だからね、わたしも頑張ろうとしたんだよ。
中学の頃から慣れない化粧を覚えたり、ちょっと髪の毛を明るく染めてみたり、だけどそれが子どもだったのかなぁ。
わたしはコトハには追いつけないみたいだ。
「…まだ寝るか?」
「うん」
コトハはまた、
わたしの髪に優しく触れる。
やっぱり、幼なじみは安心する。
すーっとわたしは眠りに落ちていく。
「咲来、俺の苗字あげようか」
「え〜なにそれ」
ふふふっと笑う。
「面白いじゃん、佐倉 咲来って」
「やだよ〜いらないし」
それが夢なのか何なのかは
わたしは覚えてはなかった。


