何も言わない優しさが、
何も言ってくれない優しさが、
こういう時、心に染みてくる。
「やだ」
「ムリ」
コトハにはきっと知られているんだと思う。でも、コトハは何も言わない。
わたしが元彼と付き合い始めた時も何も言わなかった。静かに、わたしが欲しいと思ってる行動をしてくれていた。
わたしとコトハが一緒に登下校をしたのは入学式の日が最後だった。
だから、誰もわたしとコトハの関係性は知らないんだ。会ったら普通に会話をする程度、それは誰にだってそうだ。違和感なんて持つわけない。
中学の頃は散々だった、周りにいろいろ言われ続けたけど、それでも毎日コトハとわたしは一緒にいた、一緒に登下校してた。
わたしにはずっとコトハだけだったんだ。
なのに、
…なんで。
「なぁ、知ってるか?保健室って昼休みまで先生来ねーんだよ」
「サボり場にでもしてんの?」
「ちげーよ」
ここに、コトハに告白した時の自分はいない。不思議なくらいコトハはコトハで、それはわたしもわたしなのだということ。
わたしはずっとコトハが好きでだった、そのはずだったんだ。バカみたいにコトハに引っ付き回って頭の中はコトハいっぱいで口を開けばコトハコトハって…だから思いもしなかったんだよ。
初恋が幼なじみだった、失恋しても幼なじみは幼なじみだった。
だってさ、分かるわけないでしょ?
会いたくても会えない。
会いに行っちゃいけない。
友達になんて戻れるはずもない。
本気だった、
この気持ちは本物だったもん。
「…っ、仲、よ…くでき、る…わけ…くっ、」
元みたいに仲良く出来るわけないじゃん…か、ぁ!
初めて、この苦しさを知った。
コトハの時とは全くの別物だ。


