野良猫は膝の上で眠る



声と同時に真斗の手はぱっと離れ、力なく下ろされる。


「鈴、ちょっと来い」


やっぱりクロも怒ってるんだ。

もしかしたら、助けてやったのに恩を仇で返すやつだなんて思われてるかもしれない。

いや、当たり前か…。


「怒ってないから。おいで?」


私の心を見透かしたようにそう言うと、そっと手を掴まれ、エレベーターではなく階段を歩き出す。