降ろされたのはソファーの上。
「寂しかったの?」
そしてふってくるはるの声。
寂しいとか言わない。わがままな猫は嫌われるから。
「別に……。」
愛想のない猫も嫌われるかな。
でもはるはそっかと笑って頭を撫でてくれた。
「すずちょっと待っててね。」
ふいに離れた手。そしてはるは荷物を取りに行った。
「はい、これとこれに服とかいろいろ入ってるから。」
大きな紙袋を2つ貰う。
なんか申し訳ない気がする。
「すず後ろみて。目つぶって。」
ん?と首を傾げて言われた通りにする。
後ろではガサゴソしてる。
シャラン
音と同時に首に何かが触れる。
「目開けていい?」
「うん。」
首をみると猫のネックレス。
丸いプレートには英語ですずと彫られていた。
「はる、ありがと。」
「いいえ。実は俺のも同じの作ってもらったんだ。」
「おそろいだ。」
嬉しい。そして、あることを決めた。
自分の首に手を回し前からついていたネックレスを、外した。
今は、はるの猫だからこれはもう、過去。
「これ捨てる。」
「いいの?」
「はるの猫だから、もういいの。」
「じゃあ、捨てとくね。」
これでもう、過去。
「はる眠い。」
ちょっと疲れた。
「お風呂入って寝ようね。」
コクンと頷く。
紙袋をまるごと持ってお風呂にむかった。

