「それをしに来たんだ」

「うん、そうなの。だけどね、殆ど叶っちゃった」

「……え?」

「一つ目は、敦くんと服を買ったり、選んでもらったりするデートをすること。二つ目は、敦くんと居酒屋デートをすること。ほら、あの時私達高校生だったから居酒屋行けなかったでしょ?」


……ああ、そういう事だったんだ。

ハルが、何故、クリスマスイブだというのにそれらしくない所へばかり行きたがるのか。それは、ハルの思い残しだったからなんだ。


「それから三つ目、クリスマスツリーを見ながらこうしてマフラーを一緒に巻くこと」


ハルが頰を赤らめて笑った。

ああ、そうだ。ハルは意外と、少女漫画に出てくるようなこういうベタな感じのが好きだったっけ。

ある少女漫画を差し出してきて、俺に「このシーンをやって!」とか言ってきたこともあったな。


「全部できるかなぁーって、不安だったんだけど……あと一つで、やり残したこと全部できちゃうなぁ」

「……あと一つって?」


ハルが、最後に一つ……やり残したこと。それって、なんだろう。