「あ、敦くん。買えた?」
店から出ると、エスカレーター前にある柱の向こうから顔を覗かせたハル。
「なんだ、こんなところに隠れてたんだ。はい。どうぞ」
スカートの入ったショッピング袋を手渡した。すると、彼女はとても嬉しそうに頬を緩ませる。
「やったあ!嬉しい」
あまりにも嬉しそうに笑う彼女を見ると、俺の頬も自然と緩んだ。
受け取ったショッピング袋をぎゅっと抱き締めるようにして持ち、スキップのようなステップで歩き始めた彼女。俺はその後ろをついて歩く。
「どこ行くの?」
「えー? 内緒」
「内緒って……」
なんだか、嫌な予感がするなぁ。
ここまでの流れだけ見ても、あまりにも自由すぎるハル。
突然現れたかと思えば、お金を持っていないと言って何かを買わせたり、クリスマスイブらしくもない場所に連れて行かれたり……
別に嫌なわけでも何でもないけれど、ただ、あまりにも変わらなくて、懐かしいなと思った。
……あの時のハルも、そうだったな。