「え……えっと、では、お会計が2,160円でございます」

「あ、はい」


何故か、微妙な空気が流れた。スタッフは俺に不審な目を向けてくるし、一体なんなんだ。

『あ、いいえ。あそこにいる人にそのまま渡すので大丈夫です』

俺がそう言った後、売場にハルがいなかったから不審な目を向けてくるのか?

……いや、それは違うか。

ということは、俺がこうして不審な目で見られる理由は他にあるのか。


「では、3,000円お預かり致します。……840円お返しいたします」

「はい。ありがとうございます」


……あ、分かった。

今日はクリスマスイブだというのに、自分はこうして仕事をしている。だけど、そんな自分の目の前で一組の男女がお買い物をしている。そんな羨ましさとか、妬みからだな。


そんな風に勝手に解釈した俺は、白いショッピング袋を片手にハルを探し始めた。