「ねえ、敦くん、彼女出来たでしょう?」

「えっ?」


目の前のハルの存在をやっと受け入れることができた時、彼女が俺に突然そう言った。あまりにも突然で驚いた俺は、ただ目を丸くした。


「ねえ、いるの? 彼女」


彼女はテーブルに両肘をつき、前のめりになる。どうやら、余程気になるらしい。


「……想像に任せるよ」


視線をテーブルに向けてそう答えた俺は、多分、この世で一番ズルい。

現彼女であるハルの存在を否定したくなくて、でも、目の前にいるハルとの可能性も潰したくなかったのだろう。

……こんなの、ただの下心じゃないか。格好悪い。

そうは分かっていても、ずっと会いたかった元カノだ。あわよくば、とか、そういうつもりはなくても今だけはいい感じに過ごしたい。……そう思うのは、やはりダメだろうか。


心の中で言い訳を並べて半分開き直る。だけど、目の前で俺に笑顔を向けているハルはそんな俺の下心を見透かしていた。


「ふふ、いるんだね。彼女」