高校2年生。


長いようで短かった夏休みが終わり


1限目前のHR。


「おーすっ。久しぶりだなー!」


ガヤガヤとしていた教室は


担任の小林先生が入ってくると


静かに席に戻り始める。


「出席をー……取る前に!」


楽しそうに笑う先生。


「転校生がきました!」


その一言でまた騒ぎ始める教室。


「日和(ひより)!転校生だって!」


私も前の席の茜(あかね)とワクワクしながら


入り口のドアを見る。


【入っておいで!】


全員がドアに集中する。


バンッ!


豪快に開いたドアの先。


艶のある黒髪に高い鼻。


少しつり上がった目に高身長。


漫画みたいシチュエーションで


漫画みたいなイケメンが現れた。


周りの視線も騒ぎ声も


聞く耳を持たないような彼は


教壇の近くで立ち止まる。


「転校生の望月綾人くんね!」


呆然と見る私とは違い


皆はキャーキャー騒ぎ立てる。


先生が席をどこにするか決めてる間も


皆は彼を舐め回すように眺めていた


「……ジロジロ見てぇんじゃねぇ!!
転校生がそんなに珍しか?!あ?!」


望月くんの突然の怒鳴り声に


全員が唖然と口を開ける。


「んー。じゃああいつの隣!」


空気をよんでいるのか、よんでいないのか


先生は私の隣を指差した。